macaron books presents 北とぴあ演劇祭2010参加作品

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主人公の若草薫は、ニートの半引き篭もりだ。
大学を卒業して早三年、薫は未だに親の仕送りに甘えながら、
やることは部屋でのギャルゲーと、そのキャラクターである四天王寺うららとの対話、
そして、山手線に乗って好みの女性と都合のいい妄想を繰り広げることぐらいと、
まさに絵に描いたようなダメ人間ロードを突っ走っていた。

「どうしてこうなってしまったのか……」

それは、青春時代にモテなかったからだと、薫は考えていた。
俺はイケメンじゃないから、金持ちじゃないから、コミュ能力がないから、いつも女にバカにされる。
そして、女にバカにされたら、この恋愛至上主義社会では、
まともに生きていくことはできない。薫にとって、童貞は死に至る病だった。

そんなどうしようもないところまで来ていた薫は、ある日偶然三戸可憐と再会する。
可憐は、大学時代薫が唯一親しみを感じていた女性だった。
「この人となら」という希望と、「この人でも」という絶望の狭間で揺れる薫。
実在する可憐との触れ合いと、理想である四天王寺うららの誘惑……
そして、事ある毎にコンプレックスを刺激してくるイケメンリア充の狩野猛や、
キャリアウーマン一条すみれ、今時の女子高生二見桜というノイズが、薫を激しく揺さ振る。

妄想と現実が交錯する中で、薫はどんな道を選ぶのか。
選んだ先には、どんな結末が待ち構えているのか。
モテないということ、童貞ということ、非リアということ……
これは、そんな現代社会の闇に戦いを挑んだ、一人の男の物語です。

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